こんにちはオガワ(@misc_log)です。
世界的なリモートワークの流れで確実に販売を伸ばしているであろうドッキングステーション。
MacBook Pro / Airを始めとしたラップトップMacや、背面ポートが死ぬほど使いづらいiMac、そしてMac miniのポートをエレガントに拡張し様々な周辺機器を接続可能に。
ホームオフィスを始め、固定された場所でのPC環境を劇的に改善してくれる優れたアイテムです。
というわけで今日は、あのAnkerから登場した高性能ドッキングステーション「Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3ドック」をレビューします。
本機種は、性能や外観、価格を含め「CalDigit TS3 Plus」を非常に意識した製品だと思われます。
僕はTS3 Plusを1年以上使っているので、使い勝手や性能を比較しながらレビューしています。
ドッキングステーションを検討している人の参考になれば。
Anker PowerExpand Elite 13-in-1の特徴
「Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3 Dock」はWIndows / MacのUSBポートを拡張するドッキングステーション。
乱暴に言うとUSB-Cハブの上位版みたいなもので、非常に高機能な製品です。
ドッキングステーションの役割や、使う上でのモチベーションでいうとざっくりこんな感じかなと思います。
- 外部モニターを含め、ストレージ、何かの充電など、様々な周辺機器を接続したい
- ケーブル1本だけで充電までカバーしてデスクをスッキリさせたい
- 設置時も外出時もケーブル1本抜き差しで済むような運用をしたい
Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3ドックを使えば、これらのことは全部実現できます。
リモートーワーカーをはじめ、PC環境を快適にしたいと願う全ての人におすすめな製品。
なお、Windowsにも対応してますが、この記事ではmacOSで使うことを前提としてレビューしてます。
対応しているのは「Thunderbolt 3端子(USB-C)」を持つ2016年以降に発売されたMac。
また、この製品は複数台のモニター出力に対応していますが、現行のM1 Macは1台までのモニター出力に制限されています。複数台出力はできませんので注意してください。
ではまず、本ドックが備えているポートの一覧がこちら。
ポート | 仕様 | ポート数 |
---|---|---|
Thunderbolt 3(USB-C) ※ホスト接続用 | 40Gbps, 最大85W | 1 |
Thunderbolt 3(USB-C) | 40Gbps, 最大15W | 1 |
USB-C | 10Gbps, 最大18W | 1 |
USB-C | 10Gbps ※充電非推奨 | 1 |
USB-A | 5Gbps, 最大7.5W | 1 |
USB-A | 5Gbps ※充電非推奨 | 3 |
SDカード | SD 4.0 UHS-II | 1 |
microSDカード | SD 4.0 UHS-II | 1 |
3.5mm オーディオジャック | in / out | 1 |
HDMI 2.0 | 4K@60Hz | 1 |
イーサネット | 最大1Gbps | 1 |
ポート位置は画像の通り。
前面ポート
背面ポート
13のポートを備えてます。中でも、10Gbpsポートが2つと、最大18Wで給電できるPD対応USB-Cがあるのが強い。
前面にハイスペックなポートが集まっている印象のドッキングステーション。
前面ポートを使って頻繁に抜き差しするような周辺機器が多い人に使いやすいドックと言えそうです。
Anker PowerExpand Eliteの付属品・デザイン・サイズ
いつものAnkerの箱に入って到着。ただ、サイズはかなり大きいです。
入っているものはこちら。
見てわかる通り、箱が大きい原因はこのACアダプタ。
それなりの電力が必要になるためアダプタのサイズはどうしても大きくなります。これは他のドックでも同様。
TS3 Plusのアダプタと比較するとAnkerのほうが大きい。まあ、扱いに困るという意味ではどちらもそんな変わりません。
約63cmのThunderbolt 3ケーブルも付属しています。これでMacと接続します。
外観はシルバーのアルミボディでスタイリッシュ。重厚感があってカッコいい。
電源ボタンがどことなくツマミに見え、トランジスタラジオを感じさせるクラシックな印象
側面は放熱性を考慮したと思われるスリットのあるデザイン。ブラックのアクセントも良い雰囲気。
底にあたる部分にはラバーの滑り止め。ポートの抜き差しで動かないように。
サイズは約125.8×88.5×41.9mm。手のひらサイズとは言いませんが、とてもコンパクト。
TS3 Plusよりも小さく、これだけのポートを持ったドックとしてはかなりコンパクトだと思います。
TS3 Plusとの比較
重量は約475g。TS3 Plusは約515gなので、重量もこちらの方が軽い。
個人的に、デザイン、サイズ感はとてもいいなと思いましたね。
ドックは基本的にデスクの上に配置することになるため、デザインやサイズは重要な要素。
というわけで、性能はもとより、このデザインを好きになれるかは大事なチェックポイントです。
Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3ドックを動かす
まずはセッティング。付属のACアダプタとドックを接続します。
そして、付属のThunderbolt 3ケーブルをMacへ。
Thunderbolt 3についてあまり知らない人もいると思うので念の為書いておくと、このケーブルはとても重要、かつ、高いものなのでぞんざいに扱わないことをおすすめします。
また、形が同じだからといってUSB-C to USB-CケーブルでMacとドックを接続するとかやってはいけません。必ずThunderbolt 3ケーブルを使ってください。
電源ボタンがある
Anker PowerExpand Eliteは電源ボタンがあるのが特徴のひとつ。電源ボタンのついたドックは珍しくはないですが、TS3 Plusにはないもの。
ドックを長期間使っていると「いきなりストレージのマウントが解除される」みたいなことが発生する場合があります。
そんなとき電源ボタンがあれば手元でON / OFFして再マウントできるので楽かもしれない。電源ボタンがない機種だとホストマシンとの接続ケーブルを抜き差しする必要があります。
まあでも個人的にはマウント解除されたことなんてほとんどないし、電源はずっと入れっぱが楽でいいです。
なお、ドックの電源がONになると、Macと接続していなくても各ポートは機能します。寝ている間にBluetoothキーボードやマウスを充電することができて便利。
基本的にセッティングはこれだけ。あとは各ポートに周辺機器を接続します。
Macへは85Wで充電
Anker PowerExpand EliteはMacBook Pro / Airに最大85Wでの給電が可能。そのためMacに電源は必要ありません。
TS3 Plusはファームウェアアップデートを行うことで最大87Wになるため多少上ですが、まあ強烈な差というわけではないですね。
参考までに各MacBookに必要なW数はこちら。
デバイス | 推奨W数 |
---|---|
iPad Pro / Air | 18W |
MacBook Air 13インチ | 30W |
MacBook Pro 13インチ | 61W |
MacBook Pro 15インチ | 87W |
MacBook Pro 16インチ | 96W |
MacBook Pro 16インチだけはどっちのドックを使っても出力が足りませんが、充電は可能です。ただし、高負荷なときにパフォーマンスに影響する可能性はあるので注意が必要。
外部モニターの接続
Anker PowerExpand Eliteはモニター接続用ポートとして、HDMIとThunderbolt 3ポートが用意されており、最大で3台まで接続できます。
モニターを1台接続するなら
Thunderbolt 3かHDMIどちらかを使う。
- Thunderbolt 3なら5K@60Hz
- HDMIなら4K@60HZ
モニターを2台接続するなら
Thunderbolt 3とHDMI両方使う。
- Thunderbolt 3もHDMIも4K@60Hz
モニターを3台接続するなら
HDMIと別売りの分配器でThunderbolt 3を分岐させる。
- Thunderbolt 3経由4K@30Hz × 2
- HDMIは4K@60HZ
ウルトラワイドなモニター1台でセットアップするのが最近のトレンドなので、あまりニーズはないかもしれませんが3台の出力も可能です。
ちなみに、このドックに限らずですが、個人的にはThunderboltで接続するのが最も映像が安定するような気がします。
有線LAN
Anker PowerExpand EliteもTS3 Plusも全く同じスペックのイーサネットポートを備えてます。
PCは有線接続のほうが速度も安定性も抜群に良くなります。
参考までに、Wi-Fiだと400Mbpsくらいの我が家の環境が、有線だとこのくらいの速度になります。
有線LANの取り回しが環境的に難しければしょうがないですが、せっかくドックにポートもあるので、もし使えるならぜひ試してみて下さい。
Anker PowerExpand Eliteの使用感とTS3 Plusとの比較
では、Anker PowerExpand Eliteの使い勝手をTS3 Plusと比較しながら紹介します。
TS3 Plusと比較
まずは両方のドックの特徴を比較してみました。
Anker Elite | TS3 Plus | |
---|---|---|
ポート数 | 13 | 15 |
Thunderbolt 3 | 2 | 2 |
USB-C | 2 | 2 |
USB-A | 4 | 5 |
カードリーダー | UHS-Ⅱ | UHS-Ⅱ |
マシンへの充電 | 85W | 87W |
HDMI | ○ | × |
DisplayPort | × | ○ |
10Gbpsポート | 2 | 1 |
充電可能なポート数 | 3(18W、7.5W) | 8(7.5W) |
光オーディオ | × | ○ |
縦 / 横置き | 縦置き | 両対応 |
価格 | 29,900円 | 33,000円 |
前面ポート
ポート | Anker | TS3 Plus |
---|---|---|
USB-A(5Gbps) | 1 | 1 |
USB-C(5Gbps) | 0 | 1 |
USB-C(10Gbps) | 2 | 0 |
SDカード(SD4.0 UHS-Ⅱ) | 1 | 1 |
microSDカード(SD4.0 UHS-Ⅱ) | 1 | 0 |
3.5mmオーディオ | 1 | 1 |
オーディオ入力 | 0 | 1 |
背面ポート
ポート | Anker | TS3 Plus |
---|---|---|
Thunderbolt 3(ホスト接続用) | 1 | 1 |
Thunderbolt 3(データ転送・モニタ出力) | 1 | 1 |
USB-C(10Gbps) | 0 | 1 |
USB-A(5Gbps) | 3 | 4 |
DisplayPort 1.2 | 0 | 1 |
HDMI 2.0 | 1 | 0 |
イーサネット(1Gbps) | 1 | 1 |
光オーディオ端子 | 0 | 1 |
ポートの数はTS3 Plusのほうが多いですが、ポートのスペックはAnker PowerExpand Eliteのほうが基本的に高性能。
Anker PowerExpand Eliteが優れていると思う部分はこちら。
- 10GbpsのUSB-Cが2つある。
- 最大18W出力のポートがある
- microSDカードリーダがある。
- HDMIでモニター出力ができる。
一方でTS3 Plusは、10Gbpsのポートがひとつしかなく、SDカードリーダーはありますが、microSDはない。さらに、HDMIがなくてDisplayPortになります。
しかし、オーディオ系端子が充実しているため、重視する人にとっては貴重な存在。
ただ、僕は光オーディオ端子って使ってないですし・・、個人的にポートはやはりAnkerのほうが強いと思いました。
各ポートの転送速度はAnkerが速そう
スペックが同じポートで速度差がでるかどうかを試しましたが、意外と差が出ました。
10Gbpsポートの速度を比較
それぞれのドックの10Gbpsポートで速度比較をしてみました。同じSSDで、同じMac(M1 MacBook Pro)で実施してます。
Anker PowerExpand Elite
CalDigit TS3 Plus
書き込み・読み込みともAnker PowerExpand Eliteの方が高速でした。2回試してますが2回ともほぼ同様の結果。
使ったSSDはSamsungのT7。
SDカードも同様で、やはりAnker PowerExpand Eliteの方が高速。
Anker PowerExpand Elite
CalDigit TS3 Plus
使ったカードはSONYのTOUGH Class10 128GB。
ただまあ、このあたりはカードやSSDの相性、環境に左右されるため絶対同じ結果になるかはわかりません。
余談ですが、M1 Macはなぜか外部ストレージの転送速度がIntel Macに比べて遅いです。理由は知りませんがそういうものなんでしょう。(僕だけ?)
ということで、あくまでも僕が試した限りではデータ転送速度はAnker PowerExpand Eliteの方が速かった。
高速データ通信ポートが前面にしかない
Anker PowerExpand Eliteは高速通信できるポートが背面にはThunderbolt 3ひとつだけです。
僕の使い方だと、背面の高速データ通信ポートに外部ストレージを常時つなげっぱなしにしたいんですが、もしThunderbolt 3をモニター出力などに使っていると、前面の10Gbpsポートを使わなきゃいけません。
機能としては別に問題ないんですが、常時接続するものが前面にあるってのがどうも美しくない。
TS3 PlusはThunderbolt 3ポートに加えて10GbpsのUSB-Cが背面にひとつあります。そこにストレージを繋ぎっぱなしにできるので前がスッキリ。
しかし一方で、TS3 Plusは前面に10Gbpsポートがありません。
そのため、高速通信が必要なストレージをよく抜き差しして使うなら結構めんどくさいです。背面に接続しなきゃいけないので。
そうなると、Anker PowerExpand Eliteの前面ポートが一気に輝きはじめます。
2つもの10Gbpsを備えているので、2台の高速ストレージを簡単に接続可能。
このように「頻繁に抜き差しする高速データ通信が必要ななにか」をよく使う人はAnker Eliteのほうが使い勝手がいいと思います。
まあ、5Gbpsのポートならどちらのドックも前にも後ろにもあるので、それ使ってもいいんですけどね。5Gbpsでも十分速いですし。
Anker PowerExpand Eliteは前面に18W充電ポートがある
Anker PowerExpand Eliteには、前面にUSB-C×2とUSB-A×1がありますが、USB-Cのひとつは充電が非推奨なので、実質2つのポートで充電が行えます。
中でも、USB-Cが高性能でPD対応の18W出力を持ってます。(USB-Aは7.5W)
18WあればiPhoneが急速充電できるので、デスクで充電する際にかなり重宝すると思います。
一方でTS3 Plusの前面ポートはUSB-C、USB-Aがそれぞれ7.5Wまでの出力。
7.5WでもiPhoneを普通に充電することは可能ですが、急速充電というわけにはいかないですね。
僕個人の使い方でいうと、ケーブル抜き差しがめんどくさいためデスクでiPhoneを充電するときはワイヤレスしか使いません。
充電が必要なものといえば主に、Bluetoothキーボードやマウスですが、必要になったときに都度ケーブルを出してきてTS3 Plusの前面ポートで充電してます。
- ケーブルをずっと出しておく必要がないのでキレイ
- 充電に大きな電力を必要としない
- そもそもそんなに充電する必要ない
という感じなので不便は感じませんが、もしiPhoneなどのデバイスを有線で急速充電したいならAnker PowerExpand Eliteがいいと思います。
あと、重要なこととして、Anker PowerExpand Eliteの充電可能ポートは前面に集中してます。背面にUSB-Aが3つありますが、これらは全部充電非推奨ポートです。
そのため、背面を使って充電が必要な周辺機器をつなげたいと考えている人は注意。
ちなみに、TS3 Plusは全てのUSB-C、USB-Aポートが7.5Wの出力を持ってます。
Anker PowerExpand Eliteは縦置きタイプ
Anker PowerExpand Eliteは基本的に縦において使うタイプのドッキングステーションです。
個人的にはここが一番のネック。
縦に置く場所を作れなくはないですが、やっぱりモニター下に置くのが省スペースだし、何より周辺機器の抜き差しがしやすい。
というわけで、Anker Eliteも僕は横置きにして使ってます。
しかし、縦置きを想定しているものとあって「脚」がないので、割りと簡単な力で動いちゃうのがデメリット。
ポートの抜き差し時に気を抜くとドックが動きます。
TS3 Plusは縦でも横でも使えるようになっており、横置きの場合は付属のゴム脚をつけて使います。
これのおかげで滑らないし、接地面と本体の間に隙間ができるため放熱性もいい。
縦が良いか横が良いかはデスク環境や使い方次第ですが、ここはどちらにも対応したTS3 Plusのほうが優れてますね。
発熱がすごいかも
ドッキングステーションは使用していると結構熱をもちます。それ自体は正常。そういうものです。
ただ、Anker PowerExpand Eliteは初めてドッキングステーションを使う人は驚くかもしれないレベルで熱を持ちます。
温度は測ってないので感覚的なもので申し訳ないのですが、TS3 Plusはここまで熱くはならない気がします。
とはいえ、いずれにしろドックは結構熱くなるので、熱に弱いものを近くに置かないほうが無難。
Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3ドックレビューまとめ
さて、長くなりましたがまとめます。
Anker PowerExpand Elite 13-in-1 Thunderbolt 3ドックは高性能な優れたドックだと思いました。発熱が強烈という以外にはデメリットらしいデメリットもない。
しかし、使用するスタイルによってはメリットがデメリットに変わり、その逆もあるのがドッキングステーションだと思います。
- 背面に高速通信ポートと充電可能なポートがThunderbolt 3ひとつしかない
- その代わり前面ポートが充実している
- 縦置きメインで使うものである。
個人的にはこのあたりが検討のポイントじゃないかと思います。
いろんな考え方あると思いますが、TS3 Plusとの比較だとこんな感じでしょうか。
HDMIポートかDisplayPortかみたいなところは最悪変換アダプタでなんとかなるため、デスクでどんな配置をするか(縦置き、横置き)、必要なポートは前面にあるのか背面にあるのか?、デザインはどちらが好みか?などを検討してみてください。
個人的には、Ankerは転送速度も速いし充電性能も魅力。しかし、背面10Gbp/sポート、横置き時の使い勝手の面でやっぱりTS3 Plus使いやすいなあ・・・と今のところは思ってます。
ということで、今日は以上です。それではまた。
TS3 Plusのレビューもしていますのでもし宜しければ合わせてどうぞ。
Mac用ドッキングステーションのおすすめもまとめてます。
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