こんにちはオガワ(@misc_log)です。
Macに複数の周辺機器を接続するため、USB-Cハブやドッキングステーションは欠かせないアイテム。
様々な製品が販売されてますが、4Kモニターを60Hzで出力できるものは数少ない。さらに、多くの製品においてデータ通信ポートの仕様は5Gbpsにおさえられてます。
ところが、4K60Hz出力に加え、データ通信も最大10Gbpsという従来の倍のパフォーマンスを持つUSB-CドッキングステーションがCalDigitから発売されました。
それがこちらのCalDigit USB-C SOHO Dock。
非常に優れた性能を持ち、リモートワークにも大活躍するであろうCalDigit SOHO Dockをレビューします。
なお、Windowsでも使用できますが、本レビューはMacで使うことを前提としています。
CalDigit SOHO Dockの特徴
CalDigitは高性能、かつ、デザイン性も高いPC周辺機器を製造するブランド。
USB周りの製品だと「TS3 Plus」というドッキングステーションが支持を集めており、Apple Storeでも販売されています。
そんなCalDigitから新たに「SOHO Dock」というUSB-Cドッキングステーションが登場。
SOHO Dockの非常に優れた特徴のひとつとして、「USB 3.1 Gen2」が採用されています。
「USB 3.1 Gen2ってなんやねん」と思った人向けにややこしいことを省いて何ができるかをざっくり言うと、
- 4K60Hzのモニター出力
- 外付けストレージの高速データ通信
- デバイスへ高出力充電
詳しくは後述しますが、一般的なUSB-Cハブやドックではできなかったことを実現してます。
とにかく作りがリッチで、他にも目を見張る特徴をいくつも備えてます。
- USB-CもUSB-Aも10Gbpsポート
- HDMI&DisplayPortの2つを備えている
- カードリーダーがUHS-Ⅱ対応
- バスパワー駆動する(電源がなくても動く)
- Macへ最大90Wのパススルー充電
- 小さい(持ち運べる)
- マシンと接続するケーブルが外せる(重要)
とまあ、これでもかという性能。他に同じことができるものはパッと思いつかないです。そもそもあるのかな。
で、一応念の為ですが「え?4K60Hzとか、10Gbpsポートとか、他のドックでも普通にあるよね?」と思った人向けに注意点を先に共有しておくと、SOHO Dockは「USB-Cドック」であり、いわゆる「Thunderboltドック」ではありません。
例えば、これらのことはできません。
- 2台以上のモニターに別々の映像を出力する
- 5Kモニターに接続する
Thunderboltも端子の形状はUSB-Cであるため混乱すると思いますが、ここは非常に難解、かつ複雑怪奇な仕様が存在するため、ややこしい説明は省きます。
とにかく「USB-C」と「Thunderbolt対応したUSB-C」は別物で、基本的にThunderboltドックの方ができることが多く高性能です。
SOHO DockはThunderboltドックに近いことをUSB-Cでできるようにしたという感じの製品。
Thunderboltドックに比べると価格もおさえられてます。
加えて、Thunderboltドックは据え置き型で持ち運べるものは少ないですが、このSOHOドックは電源がなくても動くため、場所を限定せず使えるという点も優れたポイント。
ついでにもうひとつ注意点として、このDockを使って4K60Hz出力ができるMacは限定されます。
- MacBook Pro 15インチ(2018 / 2019)
- MacBook Pro 16インチ(2019)
- MacBook Pro 13インチ(2020 4ポート機)
- MacBook Air 13インチ(2020)
- M1 Mac全部(2020)
- iPad Pro (2018 / 2020)
- iPad Air(2020 第4世代)
これら「Display Port 1.4」に対応しているMacであれば4K60Hzでの出力が可能。それ以外のMacだと4K30Hzになります。
MacBook ProとAirあたりは、比較的新しめのマシンでないと4K60Hzには対応していないので注意してください。M1 Macは全て対応してます。
と、だいたい言いたいこと言っちゃったんですが、もう少しSOHOドックの詳細を共有します。
CalDigit SOHO Dockの外観
コンパクトな箱に入って到着。
付属品は多くありません。本体、USB-C to USB-Cケーブル、紙類だけ。
外観はアルミ筐体でスタイリッシュ、かつ、放熱性に優れた設計。
Macのスペースグレイに近いカラーで、主張しないメーカーロゴがあるだけのデザイン。シンプルでカッコいい。
サイズ感としてはカードサイズより一回り大きい感じ。
重量は約118g。
ガジェットポーチの中でもかさばらないサイズ感と重量なので、日々携帯して使うことが可能。
USB-Cハブやドッキングステーションは基本的に「見えるところで使う」ことが多いため、個人的にはデザインも重要な要素。
シンプルなSOHO Dockなら、どこで使ってもスタイリッシュにMacを拡張できます。
CalDigit SOHO Dockのポートや性能
SOHO Dockが備えているポートはこちら。
ポート | 仕様 | ポート数 |
---|---|---|
USB-C(ホスト接続用) | 10Gbps | 1 |
USB-C(データ転送) | 10Gbps | 1 |
USB-C(充電用) | マシンへ最大90W | 1 |
USB-A(データ転送) | 10Gbps | 1 |
DisplayPort | DisplayPort 1.4 | 1 |
HDMI | HDMI 2.0b | 1 |
SDカードリーダー | UHS-II | 1 |
microSDカードリーダー | UHS-II | 1 |
各ポートの位置関係はこちら。
前面
背面
側面
便宜上、モニター接続ポート側を背面とすると位置関係は上記の通り。
ラップトップMacで2ポートタイプのマシンは「左側」にポートがあるため、ドックは左側に配置するのが順当。
しかし、SOHOドックは、ホストマシンと接続するケーブルを「取り外せる」という超絶優れた特徴を持ってます。
そのため、USB-Cケーブルを付属のものから変更して長いものに変えたりすれば、基本的にはどんな配置でも可能。
ドックとMacの位置関係を変えられるためセットアップの自由度が全然変わります。
管理するものが別々になるというデメリットもありますが、デスクに置いたときの見栄えも大事ですからね。
モニター接続は4K60Hz!
モニターはDisplay Port、もしくは、HDMIで接続します。
M1 MacBook ProをHDMI、Display Portそれぞれで4Kモニターに接続してみました。
どちらで接続しても、DP 1.4に対応したMacであれば4K60Hzで出力できます。
一般的なUSB-Cハブでは30Hzになってしまうため「ヌルヌルさ」が薄れてしまいますが、60Hzはスムーズに動いて快適。
Macはデフォルトでは60Hzで稼働しているため、横に並ぶモニターのリフレッシュレートが揃わないとめちゃくちゃ違和感ありますからね。
ちなみに、ドックの仕様上は2台のモニターに出力することもできますが、それぞれ異なる映像を出力できずミラーリングになります。
具体的には、下記画像のようにA,B,Cで異なる映像を出力することはできません。
このように、全部同じ映像か、ひとつだけ異なる映像か、にしかできません。
これはUSB-C接続による「Macの仕様」です。
というわけで、実質的にモニターは1台になると思っておくほうがいいですね。
もし複数台に異なる映像を出力したければThunderbolt 3ドックを検討してください。
また、iPad ProやiPad Airはミラーリングしか仕様的にできないため、iPadでの利用を考えている人は覚えておいてください。
USB-C & Aでのデータ転送が爆速
SOHO DockはUSB 3.1 Gen2(10Gbps)によって、理論上は一般的なUSB-Cハブの2倍のパフォーマンスが出ます。
USB-CだけでなくUSB-Aでも同じ仕様なので、あらゆる機器で高速通信が可能。
Blackmagic Disk Speed Testで下記2つのSSDの速度を測ってみました。
- Samsung T7(最大1,050MB/秒)
- Samsung S5(最大540 MB/秒)
USB−Cポートで計測
SSD | 書き込み | 読み込み |
---|---|---|
T7 | 545MB/s | 545MB/s |
T5 | 345MB/s | 369MB/s |
そして、USB-Aポートでも同じように速度を計測。
結果はほぼ同じ数値。USB-CとUSB-Aでの差はほとんどなくどちらでも高速通信できます。
本来、T7はもっと速度出てもいいんですがM1 Macだと遅くなるんですよね。M1じゃないMacで試すと900MB/sくらい出ます。このあたりは相性なのかなんなのか・・。
試しに、別のUSB-CハブのUSB3.1 Gen1(5Gbps)のポートを使って同じようにT7の速度を測ったのがこちら。
SOHO Dockだと550くらいでていたので、半分まではいかないですがそれに近い速度まで落ちてます。
やはりGen2、10Gbpsポートの威力はすごい。
ただ、このように速度的には快適な一方、データ転送に使えるポートはUSB-CとUSB-Aの2つだけなので、一般的なドッキングステーションに比べると数は少なめ。
もうひとつくらいUSB-CかAがあると嬉しいところですが、その分サイズが小さいのでトレードオフですかね。
カードリーダーも速い!
SDカード、microSDカードリーダーはUHS-IIに対応。
通常のSDカードだと約80Mbp/s程度ですが、UHS-IIだと約240Mbp/sと3倍くらい出ます。
カメラで撮影した写真や動画が爆速転送できるため、よくカードを使う人にとっては嬉しい仕様。
もちろんUHS-II対応カードが必要です。
最大90WでMacを充電
SOHO Dockの充電用ポートはUSB-Cで最大90Wの電力をMacに対して送ることができます。
ただ、ここに関しては使用する電源アダプタと使用するドックのポートによって可変します。
それを表したのが次の表。公式サイトにありました。
USBポートを使っていないとき、Aだけ、Cだけ使ったとき、両方つかったときで出力が変化しています。
また、参考までに、各MacBookの推奨とされるW数はこちら。
デバイス | 出力 |
---|---|
iPad Pro / Air | 18W |
MacBook Air 13インチ | 30W |
MacBook Pro 13インチ | 61W |
MacBook Pro 15インチ | 87W |
MacBook Pro 16インチ | 96W |
ご覧の通りなので、各ポートを使いながら推奨W数を得るには、それぞれのMacが必要とする「ひとつ上くらい」のアダプタが必要ですね。
例えばMacBook Airで、ポートを2つ使いながら30Wを得るには61Wのアダプタあたりが欲しい。
まあ実際には推奨W数を下回っても充電自体は可能ではあるものの、理想的にはやはり高出力アダプタを用意しておきたいところ。
ただ、一般的なハブだと上限が決まっている場合が多く、どの出力のアダプタを使おうが関係なく「○Wになる」みたいな感じが多いです。
そういう意味では、アダプタの出力によってデバイスに送れる電力を調整できるのは、実は良いところだったりします。
本体はバスパワーで駆動する
SOHO Dockは電源を接続しなくてもMacの電力で動きます。
通常、ドックは電源アダプタを接続しないと動作しないものが一般的ですが、SOHOドックはバスパワー駆動するため外出先でも使用可能。
また、Thunderboltドックのように巨大なアダプタが必要ないため、デスク周りもスッキリできるのが大きなメリット。
動作中はそれなりに熱くなる
充電しながらモニター出力してSSDを動かして・・という状態をしばらく続けているとやはりそれなりに熱は持ちます。
伝えるのが難しいんですが、触れないほどではないけど、触ると「おっ」とは思うくらい。
ハブならこんなもんかなというレベルです。ただまあ通気性のいいところに置いておくほうが精神的には安心。
CalDigit SOHO Dock レビューまとめ
ということで、CalDigitのUSB-C「SOHO Dock」をレビューしました。
- 1台の4Kモニターを60Hzで使いたい
- 高速データ通信ポートが欲しい
- 価格をおさえてドックを買いたい
- M1 MacBook Pro / Airを使っている
という人にSOHO Dockは最適。
複数の4Kモニターが必要、さらにポートももっと数が必要であればThunderbolt 3 ドックである「TS3 Plus」がおすすめ。
逆に、4Kモニターは必要ないという人は、一般的なUSB-Cハブが良いと思います。
最後に良いところ、残念なところをまとめます。
約1万6千円とそこそこな価格ではありますが、非常に高性能で優れた製品なので、気になったらぜひチェックしてみてください。
他にもMac用ドッキングステーションをまとめてます。よろしければ合わせてどうぞ。
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