こんにちはオガワ(@misc_log)です。
iMac 2020年モデルが2020年8月に登場しました。
Appleは今後、「Appleシリコン」と呼ばれる独自プロセッサへの移行を発表しているため、iMac 2020年モデルは恐らく最後のIntelプロセッサを搭載したMacになると思います。
安定したMacを買える最後のチャンスかもと思い、今回のiMac 2020を購入したのでレビューします。
ご存知の通り、iMacは一般的に据え置きで使う「デスクトップマシン」になるわけですが、社会的にリモートワーク・テレワークという働き方が広がりを見せていることもあって、気になっている人も多いんじゃないでしょうか。
ということで、この記事ではiMac 27インチ 2020年モデルについて、
- 前モデルからの変更点
- スペック・性能について
- 買うべき?見送るべき?
などについて書いてます。iMacを検討している人の参考になれば。
iMac 27インチ 2020年モデルの特徴
外観デザインの刷新が噂されていたiMacですが、残念ながら2020年モデルでのデザイン変更はありませんでした。
2012年からこのデザインなので正直飽きたとは思いますが、シンプルで洗練された筐体デザインは変わらぬ美しさ。

ベゼルの太さも含め、見た目的には「いつものiMac」です。
「じゃあ今回のiMacはスルーで」と言いたくなりそうですが、見えない部分のアップデートは小さくなく、よりパワフルなマシンに進化してます。
そして、iMacといえば5Kディスプレイを含んでいる割には安いというコスパの良さもウリのひとつ。
Appleシリコンに移行するというタイミングではありますが、フタを開けるまで期待通りに使えるのかわからないですし、安定した高性能なIntel Macを手に入れておくという意味で、iMac 2020は悪くない選択だと思います。
ということで、iMac 27インチ 2020年モデルの主な特徴はこちら。
- 第10世代のIntelプロセッサ(最大10コア)
- グラフィック性能の向上 (Radeon Pro 5000シリーズ)
- メモリが最大128GB搭載可能に
- 全モデルSSD(Fusion Driveが廃止)
- T2チップ搭載
- Nano-textureガラスを選択可能
- True Toneに対応
- FaceTimeカメラが1080pに
- Hey Siri対応
- SDカードがUHS-Ⅱ対応
ラインナップはいつものように松竹梅の3種類。

CPUは第10世代のIntel CPU、GPUはRadeon Pro 5000シリーズが搭載され、大きくパワーアップしました。
ベンチマーク的には、竹、松モデルであればMacBook Pro 16インチより上。10コアになると、それより上はiMac ProとMac Proしか存在しないという性能を持ってます。
動画編集や仮想環境を使う開発など、マシンパワーが必要な作業でも安心して任せることが可能なスペックです。
ただ、「梅」モデルには注意が必要で、価格は最も安いのですがSSDが256GB固定でカスタムできません。
外部ストレージやクラウドを使うにしても、256はさすがに小さすぎる気がします。
理解した上でなら問題ないのですが、安さだけで飛びつくと後悔する可能性が高いので、最低でも竹モデル以上で検討するのがおすすめ。
Apple公式:iMac
iMac 27インチ 2020年モデル レビュー
というわけで、僕が購入したスペックはこちら。
- ベース:松モデル
- プロセッサ:第10世代Intel Core i9 10コア
- グラフィック:Radeon Pro 5700 XT
- メモリ:8GB
- ストレージ:1TB SSD
- 標準ガラス
- ギガビットEthernet
- VESAモデル(スタンドがないタイプ)
プロセッサとグラフィックは最上位にカスタマイズ。その代わりNano-textureガラスは断念。メモリは自分で増設するし、ストレージはクラウドと外付けを使うので1TBあれば十分と判断。
そして、ずっと欲しかったVESAモデルを選択。
これでだいたい約40万円。かなり頑張りました。まあ仕事道具ですからね。
デザイン・外観
前述の通り、見た目的にはいつものiMacです。これまでと何の違いもありません。

ただ、僕が購入したのはVESAモデルという「ディスプレイアーム」を必要とするモデルということもあり、印象は全く違います。

違いとしては、スタンドがあるか・ないかでしかないわけですが、iMacのスタンドは高さが変えられないという割と致命的な弱点を持ってます。

デフォルトの高さでフィットすればそれでいいんですが、高い・低いの感じ方には個人差があるわけで、デスクを一段低くしてiMacを置いたり、本を重ねてその上に置いたり、高さ調整には涙ぐましい努力が必要でした。
一方でVESAモデルであれば、高さに加え、向きや角度までアームが許す範囲で自由自在。

デメリットとしては、ディスプレイアームが必要になるのでそれは別途買わなければなりません。
僕はもともと持っていた、エルゴトロンのOEMであるAmazonベーシックのアームを使ってます。
さらに、デメリットというか注意点としては、もしかするとリセールバリュー的にはよろしくないのかもしれない。
多くの人が選ぶモデルではないため、買取価格に影響する可能性はあるでしょうね。
背面ポートは相変わらず
あと、背面もVESAモデルということ以外に特に変化はないんですが、これに触れないわけにはいかないだろうというポイントはポート類。

なんでこんなところにあるのかと、何万回思ったかわかりません。
デザイン性を重視して背面なのはわかるんですが、使い勝手は思い切り犠牲になってます。
個人的にはCalDigit TS3 PlusというThunderbolt 3ドックを使っているため今はそこまで困ってませんが、ハブなりドックなり使わないと、使いづらくてしょうがないです。

ディスプレイ周り
iMac 27インチは5Kという高解像度のディスプレイが採用され、画質が非常にきれい。これはかなり満足度高い。
iMac本体価格には、別に購入すれば軽く10万円は超えるであろう5Kディスプレイが含まれており、これがコスパが良いと言われる理由です。

高精細で美しいというだけでなく、27インチの広い作業領域はラップトップ型Macにはない大きな特徴。

さらに、2020年モデルはプラス5万円でNano-textureガラスを選択できます。
Nano-textureガラスとは、Mac Proと同時に発表された約50万円のディスプレイ「Pro Display XDR」のオプションとして用意された特別な加工を施したガラスです。
一言でいうと、非光沢ディスプレイ。可能な限り画質を劣化させず反射を防ぐというもの。

僕もNano-textureガラスにしたかったんですが、CPUとGPUを盛ったのであきらめました。
ただ、そもそもiMacの標準ディスプレイはフルラミネーションという技術が使われており、できる限り反射をおさえられるようになってます。
まあとはいえ、全然反射はするので、あまりにも映り込みや反射が気になる環境で使うならNano-textureガラスを検討するとよいと思います。
また、True Toneという、周辺の光の状況によってディスプレイの色味を自動調整してくれるというiPhoneやラップトップMacでおなじみの機能に対応しました。

ただこれに関しては、僕は基本OFFにしているので正直どうでもいい。色が変なことになる場合があるので嫌なんですよね。
カメラの画質改善は嬉しい変更
ディスプレイ上部にはFace Timeカメラが備わってますが、720pから1080pへと画質が大きく改善しました。

軽視しがちですが、オンラインミーティングにおいて画質の良さは重要です。
意思を共有したり、円滑にコミュニケーションするために相手の表情はとても重要な情報であり、相手に届ける画質を良くすることで対話の質も上がります。
よくオンラインミーティングをする僕としては非常に嬉しいアップデートでした。
性能・パフォーマンス
iMac 27インチ 2020年モデルのCPUはすべて第10世代のIntel プロセッサになりました。
身も蓋もないことを言うとプロセッサやGPU(グラフィック)は、新型が出れば基本的には新しくなるもの。
その時点で妥当なものが搭載された結果でしかないわけですが、そうは言っても第10世代、かつ、10コアが選択可能というのはテンションあがる性能です。
iMac 2020年モデルのプロセッサ
梅 | 竹 | 松 |
---|---|---|
Intel Core i5 6コア(3.1GHz) | Intel Core i5 6コア(3.3GHz) | Intel Core i7 8コア(3.8GHz) |
– | Core i9 10コアに変更可能 | Core i9 10コアに変更可能 |
僕は最上位のIntel Core i9 10コアを選択し、これまで使っていたiMac 2019のメモリを移し替え64GBという環境で使っています。
以前使っていたiMac 2019は第9世代Intel Core i5 6コアというスペックでしたが、ベンチマークを比較すると大きくパフォーマンスが上がりました。

前述の通り、スコアだけ見ればこれより上はiMac ProとMac Proだけとなるパワフルな性能。
加えてGPUも最上位のRadeon Pro 5700XTを選択。
iMac 27インチ 2020年モデルのGPU
梅 | 竹 | 松 |
---|---|---|
Radeon Pro 5300 | Radeon Pro 5300 | Radeon Pro 5500 XT |
– | – | Radeon Pro 5700か、 Radeon Pro 5700XTに変更可能 |
これまで使っていた2019年モデルのRadeon Pro 580Xから大きく性能アップしました。

CPUもGPUも大幅に性能アップしたので、今後、あらゆる作業に活きてくるだろうと楽しみにしてます。
一例として、動画の書き出しでどのくらいの差があるかを試してみました。
- 素材:4K60FPS
- 尺:5分
- 形式:H.264
- ソフトウェア:Adobe Premiere Pro
- ハードウェアエンコード
iMac 2020 | iMac 2019 |
---|---|
4分03秒66 | 6分15秒08 |
だいたい35%ほどの時間短縮。これはでかい。
10コアが必ずしも正義とは限らない
CPUやGPUは高性能であればあるほど良いのは間違いではないんですが、それは場合にもよります。
例えば、動画編集を考えた場合に「Adobe Premiere Pro」を使うことを前提とすると、8コアあれば十分。
というか、Adobeが公式に8コアが最も理想的であり、それ以上増えても大幅なパフォーマンス向上は見込めないと言ってます。
CPUやGPUをどう使うかはソフトウェア次第であり、スペックでぶっ叩いたところで「それ、そんな意味ないよ?」ということは往々にしてあるので、もし迷ったら松モデルそのままの8コアでも十分かなとは思います。
ちなみに、第10世代のIntel Core i9(10コア)は消費電力がすさまじいことで有名です。
iMacに搭載された10コアはApple用に調整されたCore i9-10910というSKUが使われており、多少は緩和されているようですが、それでも、消費電力と熱出力はiMac史上最大です。
※英語ですが、このページにiMacの消費電力と熱出力についてまとめられています。
Apple公式:iMacの消費電力と熱出力について
排熱に関してはラップトップよりはマシなはずだし、基本的には空調の効いた室内で使うものだし、そこまで過度に気にする必要はないと思いますが、常に30度以上の部屋で使うとかであれば10コアは避けた方がいいかもしれない。
Fusion Driveが廃止に
他に2020年モデルのトピックとしては、Fusion Driveの廃止により全モデルSSDになりました。
僕は2019年モデルからSSDにしてますが、システム全体の動作スピードが全く違います。もしこれまでFusion DriveなりHDDなりを使っていたら、体感的にも大きな変化を感じられると思います。
しかし一方で、容量の大きさを確保するコスト(価格)が上がったので、ストレージは大きいほうがいいという人にとっては歓迎できない内容かもしれません。
コストを抑えて容量がほしい場合は、転送速度は下がりますが、外部ストレージなり、クラウドなりを使うしかないですね。
自分でメモリ増設するなら注意点が
iMac 27インチ 2020年モデルは、松竹梅いずれのモデルも最大で128GBまでメモリを搭載できますが、購入時にカスタマイズすると価格的にかなり高くなります。
iMac 27インチは自分でメモリを増設でき、ほとんどの場合その方が安いので「いいよ、自分でやるから」という人も多いはず。

しかし、2020年モデルは少し注意が必要で、組み合わせ次第で動作クロックが下がり、本来の実力を出しきれない場合があります。
Appleから正式なコメントがあったわけではないので不確かなことは言えませんが、最も無難に回避する方法は、同じメーカーの同じ容量のメモリを4枚同時に購入することです。
デフォルトで搭載されてくる8GBは意味なくなりますが、恐らくトラブルに合う可能性は減ります。
ここに至る過程はTwiterである程度まとまっているので、詳細を知りたければこちらを確認してみてください。
いずれにしろ、自分で増設することで数万円レベルの価格差がでます。
例えば僕は64GBにしていますが、Appleでの購入時にカスタマイズするとプラス10万円です。
自分でメモリを買って増設すれば、恐らくその半分もかからないはず。メモリは価格の変動が激しいので価格差はマチマチですが、圧倒的に安くはなるはずです。
僕が搭載しているメモリ
ただし、上記のような相性問題であるとか不確定な要素は出てきてしまうので、Appleに安心料を払うのもひとつの選択であることは覚えておくほうがいいです。
T2セキュリティチップが載った
Apple T2 セキュリティチップはメインCPUを補助するようなAppleが開発したチップであり、これが搭載されていないMacはiMacだけでした。
iMac 2020年モデルでT2チップが搭載され、ようやく他Macと構成が同じになったということになります。
iMacにはFace IDもTouch IDも搭載されませんでしたが、他MacやiPhoneにおいては生体認証データ(指紋や顔)はこのチップ内の領域に保存され取り出しが制御されていることで有名。
他にもSSDの暗号化などのセキュリティ周りの機能を担っているわけですが、それだけでなく、Face Timeカメラの画像処理、Hey Siriの処理、オーディオ周りの処理などもこのチップが行ってます。
そのため、Face Timeカメラの画質向上につながったり、Hey Siriが使えるようになったり、スピーカーの音質向上にもこのチップが活躍してます。
iMac 27インチ 2020年モデルは買うべき?見送るべき?
Apple製品に限らず、PCを買うタイミングというものはなかなかに難しいわけですが、前述の通り、スペック・コスパみたいな話であれば、iMac 27インチ 2020年モデルは全然買っていいと思います。
特にリモートワーカーは、ラップトップじゃなくていい人も多いはず。高性能、かつ、5Kディスプレイが同時に手に入るiMacはノート型Macよりコスパが断然いいです。
作業内容にもよりますが、基本的には竹モデル以上、できれば松モデルを選び、メモリは32GB、もしくは8GBにしておいて16GBを2枚買って増設、40GBで使えば動画編集にもデザイン制作にも快適に、数年は使えるはず。
持ち運ぶ必要がないなら、高スペックなメインマシンとしてiMac 2020はかなりおすすめです。
Apple シリコン(Silicon)のゆくえ
まあ、問題はスペックうんぬんより「タイミング」ですよね。Appleシリコンのゆくえがどうなるか?は多くの人が気になる事案でしょう。
シリコン移行が確定している状況で、今買って後悔しないのか?これはについてはわからないですね。きっと誰にもわからないです。
ただまあそれだと話が終わっちゃうので、1つの考え方としてですが、安定したマシンを手に入れておく意味で今買うのはアリだと思います。
今回デザイン的な変更がなかったiMacですが、それだけに成熟したモデルと言えます。そして成熟したモデルには安定という大きな価値があります。
一方で、ドラスティックな変革は、めんどくさいことに巻き込まれる可能性も出てきます。
例えば、2016年に大幅なモデルチェンジをしたMacBook Proは「キーボードマジヤバい問題」がありました。

Appleシリコンも多かれ少なかれ何かはきっとあるでしょう。
自分が使っているアプリケーションが期待通りに動くのか、無用なトラブルに巻き込まれないか、などなど、何らかのリスクがあるかもしれません。
しかし、現行マシンはある程度安定することがわかっているわけですから、リスクの範囲も想定できます。
そういう意味で、今買っておくのは悪くない選択だと思います。実際僕もその理由で買いました。
ただし、いくらAppleがこの先しばらくIntel Macのサポートを行うと言っても、各アプリケーションは別です。
「もうAppleシリコン向けに一本化するわ」と、すぐIntel Mac向けを切り捨てるかもしれません。これはどうしようもないです。
AdobeやマイクロソフトあたりがIntel Macをすぐに切り捨てるということは恐らくないですが、そこは各社の判断になりますからね。
また、Appleシリコンがいきなり何の問題もなく快適に動くという可能性だってもちろんあります。
ということで、ゼロリスクありえません。あのとき買っておけば良かったとも、あのとき買わなきゃよかったとも思う可能性があるので、よく検討されることをおすすめします。
iMac 27インチ 2020年モデル レビューまとめ
ということで、iMac 27インチ (2020)をざっとレビューしましたが、やっぱりiMacは良いマシンだなと思いました。
僕はMacBook Proが大好きですが、仕事をこなす「生活PC」としてはiMacがベストだと思ってます。個人の感覚ですがトラブルも少ないし、安定感が全然違います。
しばらくリモートワークになりそうな人や、ノート型Macをサブ機にしてハイスペックなメインマシンを自宅に置きたいという人におすすめな1台です。
気になったらぜひチェックしてみてください。
今日は以上です。それではまた。
Apple公式:iMac
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